2023-12-11
介護福祉士資格取得方法の一元化への意見表明(介護福祉士養成大学連絡協議会長)
介護福祉士養成大学連絡協議会は、「経過措置のさらなる延長には反対」です。介護福祉士国家試験の義務化に関する「養成施設ルートにおける経過措置」については、現行の規定のとおり廃止し、2027年度の卒業生から、卒業時に介護福祉士国家試験義務化(介護福祉士国家試験の資格取得一元化の完全実施)を要望します。
全ての者に一定の教育プロセスと国家試験義務付ける一元化は、国家資格「介護福祉士の資質向上・社会的評価・資格の価値や位置づけを高めるため」に必須です。
「養成施設ルートにおける経過措置」は、「地域共生社会の実現のための社会福祉士法等の一部を改正する法律(令和2年6月12日公布)」により、従前の「令和4(2022)年度から介護福祉士国家試験の資格取得の一元化(養成施設ルートの卒業生に対する国家試験の義務化)完全実施」の規定が見直され、その措置が5年間延長されることとなりました。
したがって、令和9(2027)年度からは経過措置はなくなるものと理解しています。「経過措置は、現行の規定のとおり廃止し、2027年度の卒業生から、卒業時に介護福祉士国家試験義務化(介護福祉士国家試験の資格取得一元化の完全実施)を要望します。
平成19(2007)年の法改正で決まった「一元化」は延長されながらも、2023年11月現在、実務経験ルートも、福祉系高校ルートも、EPAルートも一元化は施行済みです。未施行なのは、介護福祉士養成施設ルートだけです。養成施設ルートについては、過去4回施行延期されてきました。もしも、介護福祉士養成施設が自ら「さらなる延長」を願い出るとなれば、「学校で介護福祉学の知識と技術を系統的に学ぶ」教育の価値を、教育を行う養成施設そのものが自ら下げてしまうと受け取られるでしょう。
さらなる見直し等は、介護福祉士の国家資格の社会的評価に悪影響を及ぼすものと考えております。4年制大学で介護福祉士を養成している私たちは、高度な専門的な知識と技術を有する介護福祉士の養成を行うことを使命と考えており、その立場からも、現行の規定どおりの経過措置(廃止)を要望します。
なお、4年制大学では、すでに令和9(2027)年度卒業生にあたる令和6(2024)年度入学生の学生募集や入学試験も始まっており、卒業時に介護福祉士国家試験の義務付けが完全実施されることを前提とした募集等を行っています。もしも経過措置がさらに見直されることになれば、学生募集の体制と入学生に混乱が生じます。
学びには価値があります。教育には価値があります。2007年法改正から20年後となる2027年度から、一元化実施されることになっているのですから、介護福祉士国家試験の義務化に関する「養成施設ルートにおける経過措置」については、現行の規定のとおり廃止し、2027年度の卒業生から、卒業時に介護福祉士国家試験義務化(介護福祉士国家試験の資格取得一元化の完全実施)を要望します。
資質向上の視点から資格取得方法を一元化(全ての者に一定の教育プロセスと国家試験義務付けを実施)【2012(平成24)年度施行】
新たな国家試験の義務付け教育内容(喀痰吸引等)を踏まえ、等を3年間延期
【2012(平成24)年度→2015(平成27)年度施行】3年延長
介護人材確保が困難な状況等を踏まえ、国家試験の義務付け等を1年間延期
【2015(平成27)年度→2016(平成28)年度施行】1年延長
2017(平成29)年度から養成施設卒業者に受験資格を付与し5年間をかけて漸進的に導入
【2016(平成28)年度→2017(平成29)年度施行】1年延長
※受験義務付け実施【2017(平成29)年度→2021(平成34=令和3)年度施行】5年延長
介護人材確保の観点から外国人留学生の国家試験合格状況を勘案し国家試験義務付けを5年間延期
【2022(令和4)年度→2027(令和9)年度施行】5年延長
厚生労働省 第34回介護福祉士国家試験養成校別合格率 第35回介護福祉士国家試験養成校別合格率より作成
出典:https://www.mhlw.go.jp/content/12004000/000917102.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/12004000/001073950.pdf
厚生労働省 第35回介護福祉士国家試験養成校別合格率より筆者算出35回介護福祉士国家試験養成校別合格率より筆者作成
出典:https://www.mhlw.go.jp/content/12004000/001073950.pdf