2012年7月7日(土)に東洋大学白山キャンパスで介護福祉士養成大学連絡協議会総会・公開シンポジウムが開催されました。
総会の参加者は、北海道から鹿児島までの全国各地から、介護福祉士養成課程がある30大学から43人(うち個人会員13人)でした。ご多忙のなかご出席いただいた先生方には、足をお運びいただきましたことに御礼申し上げます。
・議事について
議事(第1号議案から第3議案)については、すべて原案どおり決定をされました。主な事柄は、大学連絡協議会3期役員が承認されました。2011年度の総会を受け、選挙管理委員会が設置され、新たに理事・監事が選出され、2012年度総会で承認されました(2012年7月7日〜2014年総会まで)。介護福祉士養成大学連絡協議会新役員は表1の通りです。
《報告事項》
報告事項については、4点が事務局や各担当理事から説明・報告されました。主な点は次のとおりです。
・介護福祉士の養成を行っている4年制大学の現状:全国で67大学(2012年6月現在)であるものの、2008年度学生募集を停止したものが1大学、2009年度では3大学、2010年度では2大学、2011年度では2大学あり、以上、学生募集を停止したものが8大学あることの報告がありました。なお、本会への加入状況(2012年6月現在)は、正会員大学が35大学、個人会員のみ加入している大学が15大学で、未加入の大学は17大学であることが報告されました。
・介護福祉士国家試験対策eラーニング:東北文化学園大学医療福祉学部保健福祉学科 西本典良先生より、「国家試験対策の学習管理システム(LMS)提供のご提案〜国家試験対策に役立つeラーニング〜」について報告がありました。eラーニングの特徴は、?国家試験合格に向けて、自学自習を支援するシステム、?デスクトップタイプのPCのみでなく、携帯電話やスマートフォンを活用することで場所、時間を問わず手軽に活用できる、?個人のみでなく大学で学生の取り組み状況を確認できるので学生指導に有効、?これまで国家試験に既出された問題を活用しているので教材の信頼性が高く、実際の国家試験に慣れることができるシステムのため、実用化をめざし、27年度から導入される介護福祉士国家試験対策に役立てられると良いと思います。
・「介護福祉士養成大学における医療的ケア」新カリキュラム対応準備状況調査の報告がありました。調査は、50大学中28大学(正規大学35、個人会員のみ15大学)から回答を得ました(56%)。「教員の講習会受講状況」では、講習修了教員がいる大学は24大学(85.7%)、単位数は、6単位と4単位が8大学ずつ(28.6%)、3単位が3大学(10.7%)、8単位が5大学(17.9%)、7単位が1大学(3.5%)となっていました。開講時期は、2〜3年次を中心に、早い大学は1年次後期、4年次に集中して開講している大学など様々でした。また、実地研修は行わない大学が26大学(92.9%)、実地研修を行う予定は2大学(7%)でした。
シンポジウム「大学での介護福祉士の養成-介護福祉士の未来を見据えて-では、奈倉道隆氏(聖隷クリストファ大学・教授)、横山孝子氏(熊本学園大学・教授)、渡辺裕美氏(東洋大学・教授)がシンポジストを、荏原順子氏(目白大学・教授)がコーディネーターを務め、テーマにそった意見交換と議論が行われました。
奈倉氏は、「社会福祉サービスをめざす日本の介護福祉とのその隘路」をテーマに、介護福祉士創設の歴史的な系譜や、医療的ケアを求められる今日的社会ニーズを踏まえながら、介護福祉士としてのアイデンティティの確立の必要性を言及されました。横山氏は、「自己教育力の涵養」と称し、自己の実践活動を振り返り専門職として自ら成長に向けて取り組める力を育む教育の必要性について、教育実践における理論化の具体例を挙げ、学び方を学ぶ大学教育の可能性について示唆されました。また、渡辺氏は、「介護福祉士」資格養成をめぐる論点整理をされ、「現場経験主義」に傾きつつある懸念や「医療的ケア」に関する制度的矛盾を指摘され、今後に求められる介護福祉士像に対する期待を述べられました。フロアからも活発な意見がダ出され、コーディネーターの荏原氏が各シンポジスト・フロアの発言から「介護福祉士養成教育を大学教育で行う意味」「私たちが求める介護福祉士の将来像」について、今後の養成教育の在り方を問題提起し、有意義な議論の時間となりました。 |